諏訪大社の四社まいりの順番と所要時間|御朱印と記念品も解説

諏訪大社の四社まいりとは、上社本宮(諏訪市)・上社前宮(茅野市)・下社春宮・下社秋宮(下諏訪町)の四つのお宮をすべて巡る参拝です。回る順番に決まりはなく、車なら3〜4時間、半日で四社を巡れます。御朱印は各宮で受けられ、四社すべての御朱印を揃えると、最後のお宮で記念品を受けられる習わしがあります。信濃国一之宮のスケールを一日で体感できる、見どころの多い巡拝です。

四社まいりとは|二社四宮から成る諏訪大社

四社まいりとは、諏訪湖をはさんで鎮座する諏訪大社の上社本宮・前宮、下社春宮・秋宮の四つのお宮を巡る参拝です。諏訪大社は全国の諏訪神社の総本社とされます。

諏訪大社は、諏訪湖をはさんで南に上社(本宮・前宮)、北に下社(春宮・秋宮)が鎮座する、二社四宮から成る神社です。御祭神は、国譲り神話で諏訪の地に鎮まったと伝わる建御名方神と、妃神の八坂刀売神。全国に約1万社あると言われる諏訪神社の総本社であり、信濃国一之宮として古くから篤い崇敬を集めてきました。

四つのお宮はいずれも本殿を持たず、御神木や山を御神体として拝む古い形を伝えています。また境内の四隅に御柱と呼ばれる大木が立つのも、諏訪大社ならではです。寅と申の年、数えで七年目ごとに行われる御柱祭は、山から曳き出した巨木を人力だけで里へ運び、社殿の四隅に建てる天下の大祭として知られています。四社を巡って十六本の御柱を数えて歩くのも、四社まいりならではの楽しみです。

四社まいりをより深く味わう鍵は、国譲り神話を思い出しておくことです。力比べに敗れて諏訪へ退いたはずの建御名方神が、この地では五穀豊穣や武運を守る力強い神として、千年を超えて篤く敬われてきました。その物語の反転を知ってから四つのお宮を巡ると、社殿のたたずまいも御柱の迫力も、ひと味違って見えてきます。

諏訪の神様は、古くから風と水を司る神、狩猟と農耕の守り神として仰がれ、中世には武田信玄をはじめとする武将たちの崇敬を集めた軍神でもありました。時代ごとに姿を変えながら、その時々の暮らしの必要に寄り添ってきた懐の深さが、諏訪信仰が全国へ広がった理由のひとつと言われています。

順番に決まりはない|現実的な回り方

四社を巡る順番に、神社の定めはありません。諏訪大社も、巡り方に決まりはないと案内しており、行きやすい順で差し支えありません。そのうえで現実的なのは、地理に沿って上社側から、前宮、本宮、春宮、秋宮と巡る(またはその逆の)回り方です。上社の二宮は約2キロ、下社の二宮は約1キロほどしか離れておらず、移動の無駄がありません。

所要時間は、車なら移動と参拝を合わせて3〜4時間、ゆっくり巡って半日が目安です。公共交通の場合、下社の春宮・秋宮はJR下諏訪駅から徒歩圏ですが、上社側は駅から距離があり、バスの本数も限られるため、タクシーを組み合わせるか、丸一日がかりの行程を覚悟してください。車での参拝が現実的な巡拝と言えます。

車の場合は中央自動車道の諏訪インターが上社本宮の最寄りで、下社側へは諏訪湖畔を回って20〜30分ほどの移動です。首都圏からは中央道で約3時間、名古屋方面からも同じくらいの道のりで、日帰り圏に収まります。諏訪湖を一周しながら四社を巡る行程は、湖と山並みの景色も含めて、ドライブの楽しみに満ちています。

時間配分としては、各宮30分前後を目安に、規模の大きい本宮と秋宮はやや長めに見ておくとゆとりが生まれます。朝早く出て午前に上社の二宮、昼食を挟んで午後に下社の二宮と分ければ、急ぎ足にならずに一日で巡り終えられます。

四宮それぞれの見どころ

上社前宮は、諏訪信仰発祥の地と伝えられるお宮です。四宮で唯一本殿を持ち、かたわらを水眼と呼ばれる清流が流れる、明るく素朴な佇まいが魅力です。上社本宮は四宮最大の規模を誇り、幣拝殿や布橋など重要文化財の社殿が並びます。御神体の山を背にした荘厳な境内は、一之宮の風格そのものです。

下社は、御祭神が二月から七月に春宮へ、八月から翌一月に秋宮へ遷るとされる珍しい形式です。春宮の近くには、岡本太郎が絶賛したことで知られる万治の石仏があり、あわせて訪ねる参拝者が絶えません。秋宮は、青銅製では日本有数と言われる狛犬と、神楽殿の大注連縄が見事です。下諏訪は中山道と甲州街道が合流する宿場町として栄えた温泉の町でもあり、参拝の合間に立ち寄れる門前の温泉と甘味処も、四社まいりの大きな楽しみのうちです。歩き疲れた足を湯で癒やし、次のお宮へ向かう。宿場町ならではの参拝の贅沢です。

四社で異なる境内の空気を比べるのも、この巡拝の醍醐味です。素朴で明るい前宮、荘厳な本宮、杉木立に包まれた春宮、堂々たる秋宮。同じ神様をお祀りしながら、四つのお宮はそれぞれにはっきりとした個性を持っています。お気に入りのひと宮を見つけて、次は季節を変えて再訪する。四社まいりは一度きりで終わらせず、繰り返し楽しめる巡拝です。

万治の石仏をお参りする際は、「よろずおさまりますように」と念じながら石仏のまわりを巡る参拝の仕方が現地で親しまれています。春宮から川沿いの小道を歩いてすぐの距離ですので、下社を訪ねる日には、ぜひあわせて足を延ばしてみてください。

御朱印と記念品

御朱印は四宮それぞれの社務所で受けられ、初穂料は各500円です。四社すべての御朱印を揃えて、最後に参拝したお宮でその旨を伝えると、記念品を受けられる習わしがあります。記念品の内容は時期によって異なり、近年はがま口や巾着袋などが授与されてきました。何が受けられるかは、参拝したときのお楽しみです。

御朱印の受付時間は概ね夕方までのため、四社目の到着が遅くならないよう、朝から巡り始めるのが安心です。なお御朱印は参拝の証しですから、各宮とも先にお参りを済ませてから社務所へ向かうのが順序です。拝礼の作法は一般の神社と同じ二拝二拍手一拝で構いません。四社まいり専用の御朱印帳も頒布されていますので、これを機に御朱印を始めるのも良い記念になります。

御朱印はスタンプ集めではなく、参拝の証しであり記録です。四社の御朱印が並んだページは、神話の地を自分の足で巡った一日の、なによりの覚え書きになります。数年後にその頁を開くたび、諏訪湖の光や社殿の木の香りまで、きっと思い出されるはずです。

御神渡り|冬の諏訪湖の言い伝え

冬の諏訪湖では、全面結氷した湖面の氷が大きな音とともにせり上がり、山脈のような筋が走る「御神渡り」と呼ばれる現象が知られています。言い伝えでは、上社の男神・建御名方神が、下社の女神・八坂刀売神のもとへ通った道筋とされ、氷の走り方でその年の吉凶を占う習わしが受け継がれてきました。自然現象を神様の通り道として敬うこの感覚は、山や木を御神体とする諏訪大社の信仰と地続きのものです。

御神渡りが確認された年には、湖畔の八剱神社によって拝観の神事が行われ、その記録は数百年にわたって書き継がれてきたと伝えられています。近年は暖冬の影響で現れない年も多くなりましたが、だからこそ出現の報せは大きな話題になります。冬に四社まいりを計画するなら、湖面の様子にも心を留めてみてください。雪化粧の社殿は美しい反面、道路の凍結もありますから、無理のない運転と暖かい装いで、湖国の冬をゆっくり巡るのがおすすめです。

諏訪湖そのものも、四社まいりの隠れた主役です。四つのお宮は湖を取り囲むように鎮座しており、湖畔から山々を仰げば、湖と山のあいだに暮らしと信仰が育まれてきたこの土地の成り立ちが見えてきます。時間が許せば、湖畔で足を止めるひとときも旅程に加えてみてください。

御柱と御柱祭|境内で探す祭りの記憶

諏訪大社を語るうえで欠かせないのが、寅と申の年に行われる御柱祭です。山から伐り出した樅の巨木を、氏子たちが人力だけで曳き、急坂を落とし、川を渡らせて、四つのお宮それぞれの四隅に建て替えます。巨木にまたがったまま急坂を滑り落ちる木落しの場面は、勇壮な祭りの代名詞として全国に知られています。

御柱祭の年でなくても、各宮の境内には前回の祭りで建てられた御柱が立っています。一之御柱から四之御柱まで、太さも表情も一本ずつ違う柱を探して歩くと、四社まいりに宝探しのような楽しみが加わります。柱の前で足を止める土地の人の姿に、次の祭りを待つこの土地の信仰の熱が感じられるはずです。

御柱は神様の依り代とも神域を区切る印とも言われ、その起源は定かでないほど古くまで遡ると伝えられています。また御柱祭の年以外にも、諏訪地方では小宮と呼ばれる地域の神社で御柱の行事が続けられており、四社まいりの道中、町角の小さな社の四隅にも柱が立っているのを見つけられます。意味を確かめようのない古さと、暮らしの隅々まで行き渡る裾野の広さ。その両方が、諏訪信仰の奥深さです。

よくある質問

Q. 四社まいりは一日で回れますか。A. 回れます。車なら移動と参拝で3〜4時間、ゆっくり見て半日が目安です。朝に上社側から始めれば、昼過ぎには下社まで巡り終え、下諏訪の温泉や食事を楽しむ余裕も生まれます。

Q. どこから回るのが縁起が良いなどの決まりはありますか。A. ありません。神社としても順序の定めはないと案内しています。諏訪信仰発祥の地と伝わる前宮から始める回り方は、物語の順を辿る意味で人気がありますが、あくまで好みの問題です。

Q. 記念品は必ずもらえますか。A. 四社の御朱印を揃えた方への習わしとして続けられていますが、内容や授与の形は時期により変わることがあります。確実を期すなら、参拝前に諏訪大社の社務所へ確認しておくと安心です。

Q. 上社と下社で御祭神は違うのですか。A. いずれも建御名方神と八坂刀売神をお祀りし、下社では八重事代主神もあわせてお祀りされています。上社は男神、下社は女神を主とする、と対で語られることもありますが、四つのお宮で一体の諏訪大社です。どのお宮から参拝しても、欠けるものはありません。

本記事は神社の由緒・一般的な参拝作法・古典に基づいて構成していますが、 ご利益や効果を保証するものではありません。悩みが深いときは、 信頼できる人や専門機関に相談することも大切にしてください。