新屋山神社 奥宮の行き方|開山期間と冬季閉鎖・参拝方法

新屋山神社の奥宮は、富士山の二合目、標高およそ1700メートルの森の中に鎮まります。参拝できるのは、奥宮へ通じる林道が通行できる期間に限られ、積雪のため例年11月ごろから翌春4月下旬ごろまでは閉鎖されます。年によって開通時期は前後するため、出かける前に神社へ確認するのが確実です。「金運神社」の通称で知られる社ですが、本来はまず麓の本宮に参ってから奥宮へ向かうのが順序とされています。この記事では、行き方と参拝方法、季節の注意点をまとめます。

奥宮とは。富士山二合目に鎮まる社

新屋山神社の奥宮は、本宮から富士山側へ上った二合目「ヘダノツジ」に鎮まる小さなお宮で、逸話をきっかけに「金運神社」の通称で全国に知られるようになりました。

新屋山神社は山梨県富士吉田市の神社で、創建は天文3年(1534年)と伝わります。御祭神は山を司る大山祇命で、相殿に天照皇大神木花開耶姫命をまつり、古くから林業や農業に携わる人々の守り神として崇敬されてきた山の神のお社です。社名の「新屋」は鎮座地の地名で、「あらや」と読みます。

奥宮は、本宮から富士山側へ上った二合目、「ヘダノツジ」と呼ばれる場所に鎮座します。うっそうとした森の中に小さな社殿が立つだけの簡素なお宮です。しかし経営コンサルタントの船井幸雄氏が金運に縁の深い神社として紹介したと語られる逸話から、「金運神社」の通称で全国に知られるようになりました。

呼び名が先行しがちですが、実体は富士の山中に静かに鎮まる山の神の社です。ご利益を約束する場所ではなく、富士の気の中で自分の仕事とお金への向き合い方を整え直す場所、と捉えて訪ねるのがふさわしいと思います。

富士山麓には、北口本宮冨士浅間神社をはじめ富士信仰の社が点在し、江戸時代には富士講と呼ばれる庶民の登拝の信仰が盛んでした。新屋山神社もまた、山の恵みとともに生きてきた麓の集落に守られてきたお社であり、富士をめぐる信仰の風土の中に立っています。金運の評判だけを目当てにするのではなく、この土地の信仰の歴史ごと訪ねるつもりで出かけると、参拝の充実がまるで違ってきます。

開山期間と冬季閉鎖。参拝できるのは初夏から晩秋

奥宮への道は、標高が高く積雪するため、例年11月ごろから翌春の4月下旬ごろまで林道が冬季閉鎖され、その間は参拝できません。参拝できるのは、おおむね初夏から晩秋までの期間です。

注意したいのは、開通時期・閉鎖時期が年の雪の状況によって前後することです。春先や晩秋の参拝を計画する場合は、必ず事前に神社へ問い合わせるか、公式サイトで最新の案内を確認してください。せっかく麓まで行って引き返すことになった、という話は珍しくありません。

閉鎖の期間に当たってしまっても、がっかりし過ぎないでください。麓の本宮から富士を仰ぎ、山中の奥宮の方角へ心を向けて遥拝する形でも、祈りとしては十分に成り立ちます。距離や標高は、祈りの深さとは関係がありません。

また、奥宮に神職がいらっしゃる時間は限られており、御朱印や授与品を望む場合は日中の早めの時間帯が安心です。山の天気は変わりやすく、標高1700メートルの朝夕は夏でも冷えます。羽織りものと歩きやすい靴は季節を問わず用意してください。

山の季節は、里より一月ほど早く進むと心得ておきましょう。麓が春めいても二合目にはまだ雪が残り、里が紅葉の頃、山はもう冬支度です。地図アプリの案内だけを頼りにせず、出発の朝に道路状況と天気をもう一度確かめる。その一手間が、山の参拝では何よりのお守りになります。

行き方。車が基本、公共交通の便はない

奥宮へは、麓の本宮から滝沢林道を車で30分ほど上ります。路線バスなどの公共交通機関はなく、自家用車・レンタカー・タクシーが基本の手段です。林道は舗装されていますが道幅の狭い区間があり、山道の運転に慣れない方はゆとりを持った運転を心がけてください。

本宮へは、富士急行線の富士山駅からタクシーで10分ほどです。車を使わない場合は、富士山駅を起点に本宮・奥宮をタクシーで往復する形になります。タクシーを使う場合は、往復の予約と現地での待機をあらかじめ相談しておくと安心です。山中は電波の届きにくい場所もあり、現地で呼び直せるとは限りません。首都圏からは、新屋山神社奥宮への参拝を組み込んだバスツアーも催行されており、運転に不安のある方には現実的な選択肢です。

奥宮の社殿のかたわらには、石を環状に並べた一角があり、掲示の案内に沿って巡って参拝する習わしが伝えられています。山中の小さなお宮ですが参拝の順路は丁寧に案内されていますので、当日の掲示に従って静かにお参りしてください。

旅程に余裕があれば、富士吉田の町や北口本宮冨士浅間神社、富士五湖と組み合わせた一泊の旅にすると、朝の澄んだ空気の中で参拝できます。

参拝方法。まず本宮、それから奥宮へ

新屋山神社の参拝は、まず麓の本宮にお参りしてから奥宮へ向かうのが本来の順序とされています。奥宮だけを目指して素通りするのは、家の玄関を通らず奥座敷に上がるようなもの。本宮で名乗りと感謝を申し上げてから、山へ上ってください。

本宮の拝殿には「お伺い石(御神石)」と呼ばれる石が据えられ、願い事を念じながら三度持ち上げ、二度目が軽く感じられれば願いが叶いやすいと伝えられてきました。感染症対策のため実施が中止されていた時期もあるので、当日の案内に従ってください。

金運の祈願では、「お金が欲しい」で終わらせず、何のためのお金かを心の中で言葉にすることをおすすめします。事業のため、家族のため、学びのため。目的を名乗ると、祈りは自然と自分の働き方への誓いに変わります。

祈願を終えたら、山を下りてからが本番です。帳簿や家計を見直す、値づけを考え直す、学びにお金を回す。参拝の日をきっかけに、ひとつでも実行に移してみてください。次に訪ねる機会があれば、その報告を持って上がる。山の神との付き合いは、そうした往復で深まっていくものだと思います。

大山祇命という神。山と富士の信仰

御祭神の大山祇命は、『古事記』に大山津見神と記される山の神です。イザナギ・イザナミの神生みの段で成った神で、山の幸を司る神々の親として、全国の山々の信仰の根に位置づけられてきました。

この神は、富士の女神として名高い木花之佐久夜毘売(木花開耶姫命)の父神でもあります。天孫瓊瓊杵尊が佐久夜毘売を見初めた場面で、父の大山津見神は姉の石長比売を添えて差し出しますが、瓊瓊杵尊は美しい妹だけを留め、姉を返してしまいました。岩の永遠を象徴する石長比売を退けたことで、天孫の御子たちの命に限りが生じた、と『古事記』は語ります。花の美しさと命のはかなさをめぐる、日本神話でも屈指の挿話です。

新屋山神社が相殿に木花開耶姫命をまつるのは、この父娘の縁につながります。富士山を御神体と仰ぐ浅間信仰の主祭神が木花開耶姫命であることを思えば、富士の懐に父神の大山祇命の社が鎮まるという配置には、山の信仰の系譜が美しく重なっています。

また山の神は、林業や農業だけでなく、鉱山や酒造など、山の恵みに関わる多くの生業の守り神として仰がれてきました。「金運」という現代的な呼ばれ方の底にも、山が富を生み出すという古い感覚が流れていると見ることができます。この社の金運信仰は突然湧いた流行ではなく、山の神への信仰の現代的な現れと捉えるのが自然でしょう。

山の神に参るときの心得

奥宮の参拝は、街なかの神社と同じ気持ちで出かけると戸惑うことがあります。標高1700メートルの森は天候が急に変わり、夏でも雨が降れば体が冷えます。雨具と羽織りもの、飲み物は車に積んでおきましょう。売店や自動販売機に頼れる場所ではありません。

森は神域であると同時に、生きものたちの住処でもあります。食べ物の扱いに気をつけ、ゴミは必ず持ち帰り、声を落として歩く。林道では対向車や野生動物の飛び出しに備えて速度を落とす。山の神への礼は、社殿の前に立つ前、道中の振る舞いからもう始まっています。

山の神への信仰は、恵みへの感謝と、山の力への畏れの両方でできています。金運の願いだけを抱えて上がるのではなく、富士の森の静けさにしばらく身を置かせてもらう、という気持ちで参拝すると、この社の本来の顔が見えてくるはずです。

なお、二合目の森は霧が出ると視界が急に狭くなります。夕方の到着は避け、日の高いうちに参拝を終えて山を下りる計画を基本にしてください。山の参拝では、余裕のある行程を組むことそのものが、いちばんの安全策であり、山の神への礼儀でもあります。

よくある質問

Q. 冬の間はまったく参拝できないのですか。A. 冬季に閉鎖されるのは奥宮への林道で、麓の本宮は基本的に通年参拝できます。大雪の日を避ければ、冬は本宮に参り、奥宮へは開通後に改めて、という二段構えの計画が現実的です。

Q. 奥宮の参拝だけで済ませてもよいですか。A. 順序としては本宮が先とされています。時間の都合で難しい場合も、できるだけ本宮に立ち寄ってから奥宮へ向かう計画をおすすめします。本宮と奥宮は車で30分ほどの距離です。

Q. 参拝すれば金運は上がりますか。A. ご利益を保証する神社はありません。三大金運神社と呼ばれる由来も、もとは「自分を整える場所」として紹介されたものと伝えられています。参拝を機に帳簿や家計を整える、その実践までを含めてひとつの祈願と考えてください。富士への旅そのものを、お金と時間の良い使い方の練習にするのがおすすめです。

Q. 御朱印はいただけますか。A. 本宮で授与が行われています。奥宮は神職がいらっしゃる時間が限られるため、当日に受けられるかどうかは状況によります。確実を期すなら、本宮での参拝と授与を軸に計画し、奥宮は参拝そのものを目的として訪ねるのが安心です。

本記事は神社の由緒・一般的な参拝作法・古典に基づいて構成していますが、 ご利益や効果を保証するものではありません。悩みが深いときは、 信頼できる人や専門機関に相談することも大切にしてください。